
監査法人への転職は公認会計士が最も転職しやすいキャリアパスです。一方で、公認会計士の大半は監査法人からキャリアをスタートさせますので、特にBIG4監査法人に在籍している公認会計士が特に好んで別の監査法人へと転職することはあまり多くありません。
このページでは、監査法人への転職を検討する方が知っておきたい情報を、規模区分・年収・求人・キャリア・就活スケジュールまで2026年時点の最新情報で網羅的に解説します。
監査法人内でのキャリアや、監査法人での経験が外部でどう評価されるかについても解説します。
目次
- 監査法人への転職に関する傾向
- 監査法人の年収相場
- 役職別の年収
- 規模別の年収
- 監査法人の求人状況とポジション
- 求められる人材像
- 監査アシスタントの求人
- 非常勤会計士の求人
- 監査法人業界でのキャリアの特徴
- 監査法人の規模別のキャリアの特徴
- 監査法人の業務別のキャリアの特徴
- 監査法人業界で活躍する公認会計士の記事を読む
- 監査法人への転職をサポート!
監査法人への転職に関する傾向
監査経験のある公認会計士であれば、一般的に他の監査法人への転職はしやすい傾向にあります。
監査法人への転職難易度は、公認会計士の需給バランスによって上下します。
総じて、監査法人業界は、業界横並びで需給バランスが変化する傾向にあり、公認会計士試験合格者(定期採用)の就職状況を目安にするとわかりやすいでしょう。どの監査法人も会計士試験合格者の就職が厳しい時期には中途採用を抑制しており、就職がしやすい時期には中途採用を積極的に行っている傾向にあります。
2020年代前半までは公認会計士業界全体で慢性的な人手不足が続いており、各監査法人とも中途採用に積極的な売り手市場の状況が継続してきました。2020年代半ばの現状もその傾向はあるものの、BIG4監査法人については定期採用枠の充足の高まり、将来的なAI活用も見越し、採用枠は徐々に狭まりつつあるのではないか?との見方も業界にはみられます。
また、監査法人はどのような人材を求めているのでしょうか?
一般的には若手が求められているため、監査法人への転職を考える場合、年齢は若いほうが有利な傾向にあります。
職位で見ると、中堅~大手監査法人の中途採用はスタッフ~シニアスタッフ職での採用ニーズが最も多く、一定以上の実績や部門内での強いニーズがあればマネージャー職以上も中途採用を行う傾向にあります。中小監査法人の場合は、マネージャー以上の人材を求めるケースも見受けられます。
監査経験のない公認会計士(企業経理経験者など)の場合、監査法人への転職は年齢と景気の状況によります。景気が良い状況であれば採用されやすく、年齢が高くなるにつれ採用可能性が下がっていく傾向があります。
また、株式市場で評価の悪い上場企業の監査を行っているような監査法人(ブラック監査法人や受け皿監査法人と呼ばれる法人)に就職してしまうと、その後の転職は大きく不利になりますので、注意が必要です。
監査法人の年収相場
監査法人で働く公認会計士の年収は、役職・規模・経験年数によって大きく変動します。ここでは2026年時点の一般的な水準を、役職別・規模別の2つの観点から解説します。
役職別の年収
監査法人の年収は職位ステップに沿って段階的に上昇していくことが特徴です。法人や個人差はあるものの、役職別の年収レンジの目安は次のとおりです。
- スタッフ:500万円〜700万円
- シニアスタッフ:700万円〜900万円
- マネージャー:900万円〜1,000万円前後
- シニアマネージャー:1,000万円〜1,300万円
- パートナー:1,500万円〜(成果に応じて大きく上下)
スタッフ職は基本給に残業代が加算される設計の法人が多く、繁忙期には残業代込みで600万円台に達するケースもあります。マネージャー以上は管理監督職としてみなし残業の扱いとなる法人が一般的です。
規模別の年収
規模別では、BIG4監査法人の方が中小監査法人より平均年収はやや高い傾向にあります。一方で、中小監査法人でも管理職や専門領域の人材については、BIG4と同等以上の水準を提示するケースもあります。中小監査法人ではマネージャー以上の年収レンジが幅広く、案件数や収益貢献度に応じて柔軟に評価されることが特徴です。
監査法人の求人状況とポジション
監査法人の中途採用は、業界全体の人手不足を背景に活発な状態が続いています。求人ポジションは公認会計士のフルタイム職に加え、監査アシスタント職、非常勤会計士など多様化しており、キャリア状況に応じた働き方を選びやすくなっています。
求められる人材像
監査法人が中途採用で最も求めているのは、スタッフ〜シニアスタッフ職の若手公認会計士です。BIG4・準大手・中堅監査法人とも、20代後半〜30代前半の監査経験者にニーズが集中しています。中小監査法人では、マネージャー以上の経験者を求めるケースもあります。
監査経験のない公認会計士(事業会社経理経験者、USCPA保持者など)の場合は、年齢と景気の状況により採用可能性が変動します。20代〜30代前半であれば、BIG4のアドバイザリー部門や監査部門での未経験採用枠もあります。
監査法人の最新の求人情報は、公認会計士ナビの求人一覧からまとめて確認できます。
監査アシスタントの求人
監査アシスタント(監査事務・監査補助)は、公認会計士のサポートとして資料の網羅性チェック、調書の整合性確認、確認状の送付・管理などを行う職種です。公認会計士資格は不要で、未経験から始められることが多いため、簿記2〜3級程度の知識があれば応募可能なケースもあります。
近年は監査業務量の増加と人手不足を背景に、BIG4を中心に監査アシスタントの採用ニーズが高まり、リモートワーク併用や時短勤務など、柔軟な働き方を選べる求人も増えてきました。
非常勤会計士の求人
非常勤会計士は、特定の監査案件にスポットでアサインされる契約形態です。年間の稼働日数を決定し、1日5〜6時間程度の勤務から、繁忙期にフルタイム近くまで稼働するパターンまで勤務時間やサイクルは様々で、ライフステージや本業との兼ね合いで柔軟に働けます。
時給相場は法人や監査経験によって様々ではあるものの、概ね5,000円以上から8,000円程度が目安です。フリーランス会計士や、独立後に安定収入を確保したい公認会計士に適した働き方として注目されています。
監査法人業界でのキャリアの特徴
ここでは、監査法人業界で得られるキャリアの特徴について解説します。
監査法人の規模別のキャリアの特徴
- BIG4監査法人
- 中小・中堅監査法人
監査法人の業務別のキャリアの特徴
- 会計監査
- 会計監査以外(IT監査、アドバイザリーなど)
上記4つに分けて、監査法人でのキャリアの特徴を解説します。
監査法人の規模別のキャリアの特徴
1.BIG4監査法人のキャリア
BIG4監査法人では、「監査のキャリア」と「アドバイザリーのキャリア」があります。また、監査とアドバイザリーのそれぞれでさらに細分化されたキャリアがあります。
近年も各法人がアドバイザリー部門を継続的に強化・増員しており、BIG4監査法人内でアドバイザリーキャリアを積む機会は十数年前と比較しても着実に増えています。
一方で、部門はしっかり分けられているケースが多いため、監査とアドバイザリーを兼務できるケースは、一部のBIG4監査法人では見受けられるものの、基本的には大手監査法人では難しい傾向にあります。
また、BIG4監査法人の魅力は、法人内に様々な部門があり、異動をうまく活用すれば多岐に渡る経験が積める点ではありますが、法人内で着実に昇格していくには、特定の部門に一定期間勤務し、しっかりと実績を出していくことも重要です。そのため、異動をどう活用するかはキャリア形成や法人内での昇格において重要です。
BIG4監査法人では海外赴任のチャンスもあります。グローバル化が進み語学力や海外経験が高く評価される昨今ではこの経験は非常に価値のあるものであり、監査法人での上位のパートナーを目指する場合には重要な経験となります、また、監査法人から転職する際にも有利に働く可能性が高いです。
一方で、海外赴任をせず、特定の部門で同じ仕事を続け実績を出していくことで昇格が、目の前の実績は出しやすく昇格に有利となるケースも否定はできませんので、海外赴任を経てどのようなキャリアを描くかも意識して赴任することが望ましいでしょう。
また、監査法人に限らず一般企業でも言えることですが、監査法人内での昇格やキャリア形成には人間関係や社内政治などが影響を及ぼすこともあります。BIG4監査法人では、パートナーや部門長との相性や人間関係も重要です。
「BIG4監査法人はそれぞれどんな違いがあるの?」と気になる方は、当サイトの以下の関連記事もあわせてご参考にされてください。
BIG4各法人の業績・クライアント数・人員数の最新比較は【2025年版】BIG4監査法人を比較!四大監査法人の決算・業績・クライアント数・人員数ランキングにまとめています。BIG4の規模感を別の切り口から把握したい方はご覧ください。
また、各法人で働く雰囲気については、現役・OBの公認会計士に取材したEY新日本監査法人OBトーク、監査法人トーマツOBトーク、あずさ監査法人OBトーク、PwCあらた若手会計士インタビューで、リアルな声が確認できます。
2.中小・中堅監査法人のキャリア
BIG4監査法人や準大手監査法人から中小監査法人に転職すると、監査マニュアルやノウハウのギャップを感じることも少なくありません。一方で、自由度は高く、各論点の検証などを良い意味でマニュアルに寄りすぎず監査業務を行える点に魅力を感じるケースもあります。
また、BIG4監査法人や準大手監査法人から中小・中堅監査法人に転職すると、監査以外にアドバイザリーなどの業務に携われる可能性もあります。(ただし、アドバイザリーが豊富な中小・中堅監査法人は少ないため、監査とアドバイザリーを兼務と言っても監査業務が8〜9割となることも多いです。)
中小・中堅監査法人では、若い年齢でインチャージやマネージャーとしての経験を積むことができる傾向にあります。
例えば、金商法監査のインチャージについても、中小・中堅監査法人であればBIG4監査法人よりも数年早く、20代や監査経験5年程度で経験できるケースもあります。
また、準大手・中堅の監査法人であれば、クライアントの海外子会社の監査のために監査人自らが現地に赴くケースもあり、海外出張経験を積みやすい場合もあります。
中小・中堅監査法人においても、昇格やキャリア形成に人間関係や社内政治などが影響を及ぼすこともあります。中小〜中堅監査法人では、代表パートナーや創業者メンバーとの相性や人間関係も重要です。
なお、大手監査法人出身者と中小監査法人出身者で外部からの評価のされ方にどう違いが出るかについては、当サイトの大手監査法人出身者と中小監査法人出身者で評価のされ方に違いはありますか?もあわせて参考になります。
監査法人で働く上でのキャリアの悩みやその向き合い方については、人気連載のくわえもんの「会計士の悩みはオレに聞け!」(vol.13:監査経験がないのがコンプレックス。監査法人に転職すべき!?)もあわせてご覧ください。
監査法人の業務別のキャリアの特徴
1.会計監査のキャリア
会計監査でのキャリアや、監査経験者の転職のポイント
会計監査は公認会計士の独占業務であるため、監査法人業界での地位は保証されやすく、同じく監査法人に勤務する米国公認会計士や他の資格者、無資格者よりは相対的に地位や評価は高いと言えます。
監査法人での昇格も近年は厳しくなりつつありますが、それでもコンサルティング会社や一般事業会社と比較すると、監査法人内での競争は比較的緩やかではあります。特に、中小監査法人や地方の監査法人となるとその傾向は顕著です。
こういった点では、公認会計士にとって監査法人の監査部門は、比較的ローリスクな職場であるとは言えるでしょう。
転職に関して言うと、会計監査の経験がある若手公認会計士であれば、FAS、コンサルティング、事業会社(経理、財務、IPO準備等)、金融機関(フロント〜バック)など様々なフィールドへの可能性があります。一方で、30代になるとその選択肢は徐々に狭まっていくため、監査法人から出るには若いうちが有利と言えます。
また、会計監査を続けているとつぶしが効かないと考え、若いうちに監査法人を辞める人材もいますが、実際は会計監査の経験があれば30代、40代でも経理職への転職は可能です。ただし、加齢に伴って求人が少なくなるなど、選択肢が少なくなっていく点への注意は必要です。
一方で、監査法人の競争環境は外部と比較するとやや緩めであるため、仮に転職したとして、転職先で行うのと同じだけの努力を現在勤務する監査法人で行えばかなりの成果を出せる可能性もあります。監査法人から出ることを考える場合は、この点にも一考の余地があると言えます。
金融監査・公会計監査など特殊な監査経験をした場合の転職
会計監査の中でも「金融監査」や「公会計監査」は、もし監査法人から外に出る場合は、やや評価が特殊である点を意識しておく必要があります。
金融監査部門はその特殊性から、好景気・不景気問わず人材ニーズが高く、金融監査の経験があれば他法人の金融監査部門への転職はしやすい傾向にあります。また、過去に監査法人が人員削減を行った際にも、金融監査部門が対象外となるなど、監査法人内でのキャリアの希少性もあると言えるでしょう。
金融監査の経験者は、金融機関のバックオフィス職でも評価されやすく、年齢が若ければフロント職などでも評価される傾向にあります。一方で、金融監査のキャリアが長くなると、例えば、製造業など異業種の経理職への転職は難しくなるので、金融業界から離れたい場合は若いうちにキャリアチェンジすることが重要です。
公会計監査のキャリアがメインとなると、自治体や第3セクター、特殊法人などの経理職としては評価されやすいですが、それらの求人は転職市場に非常に少ない点、一般事業会社の経理職では評価されにくくなる点には注意が必要です。
公会計監査のキャリアがメインとなると、会計事務所、FASやコンサルティングファームでも一般的には評価はされにくくなりますが、クライアントに自治体や第3セクター、特殊法人が多いファームなどでは評価されやすい傾向はあります。
2.会計監査以外のキャリア(IT監査、アドバイザリーなど)
BIG4監査法人には会計監査以外にも多様なサービスラインや部門があります。監査、アドバイザリーそれぞれで多数の部門やサービスラインがあり、どの部門に所属するかによってキャリアも、積める経験も多種多様です。
ここでは参考までにIT監査と会計アドバイザリーのキャリアについて簡単に取り上げます。
IT監査のキャリア
公認会計士は会計に関する業務を好むため、IT監査の人気は高くはなく、いずれの法人でもやや人材不足であることが多いです。人材不足で低人気であるということは、逆に法人内での価値が高くなるので、金融監査などと同様に人員削減の際に対象外となったり、社内でのライバルが少なく昇格しやすいなど、勝ち残りやすいフィールドとも言えます。
IT監査部門での経験があると、IT系コンサルティングファームや事業会社のIT関連の企画部門などに転職できる可能性もあります。
会計アドバイザリーのキャリア
近年の監査法人の大きなトレンドとして「会計アドバイザリー」部門の拡大が挙げられます。IFRS導入や海外上場、M&A後の会計プロセス統合(財務会計・管理会計)などのニーズの高まりから、ここ十数年で、各法人がサービスラインを本格的に立ち上げ、採用活動も積極的に行っています。
会計アドバイザリーの部門では、主に財務会計を中心としたアドバイザリー経験を積むことができ、会計監査の経験を最も応用しやすい部門となっています。
また、近年はいずれの法人の会計アドバイザリー部門も採用意欲が高いため、30歳程度までの若手であれば、事業会社で経理経験がある有資格者(公認会計士、米国公認会計士など)といった、監査未経験者も採用対象としている傾向があります。
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